オフィス鴻

新ネットスーパー業態

2023年10月14日

小売最大手のイオンが新ネットスーパーサービス「グリーンビーンズ」をスタートさせ、デリバリー子会社のHPには、オンライン注文の食品・日用品を1.5tトラック(普通免許で乗務可能)で配送、乗務員はフレーム台車4つを動かすだけの仕事で東京平和島勤務では月給25万円(25時間固定残業込)、賞与あり、週休2日のシフト勤務制と募集要項に掲載されています。前日注文制で、専用配送センターから午前7時から1時間区切りで希望時間帯に配達するそうです。編集人宅も他社ネットスーパーを利用していましたが、生鮮野菜等は良いものが多い反面、欠品と代替品が多く利用を止めました。

物流ラストワンマイルに1時間枠という縛りを自ら設けていることに驚きを隠せませんが、1日あたり4回転(16件の配達)としてコストを計算すると配送費だけでも1件当たり800~1,000円に相当します。収益化には商品売買益(粗利)を20%として1件あたり6千円以上の注文と配送有料化(500円と試算)が必要となりますね。また、売れ残り食品は店舗間転送での再販、エリア時間帯当たりの受注件数に上限を設けた上で、歩合委託制業者も併用すると思われます。

実は、編集人は10年近く前に当時のGAFAの1社から「アジア地域での生鮮宅配事業新規立ち上げ」を打診され、今回のようなRDC(Regional Distribution Center)方式や大規模物流拠点方式では、安定的宅配ニーズ獲得と固定費回収(施設運営費等)は難しく、やんわりとお断りしました。今後は、小売業全体で共通インフラ基盤を共同利用、または買い物難民を対象とした宅配が検討されてくると思いますが、在庫振替(他社に自社在庫を融通する商品移動を伴わない特殊な決済方式)が適用できない商品も多く、逆に店舗の優位性を前面に出しながら人とのふれあいや安全確認などのサービスと合わせた「見守り型宅配」化が、社会的貢献ビジネス展開として評価される方向性のように感じます。