オフィス鴻

物流革新緊急パッケージ

2023年11月23日

10月の日本経済新聞記事では、政府は物流革新緊急パッケージとして①物流の効率化、②荷主・消費者行動の変容、③商慣行の見直しを軸に、2024年度に予測されるドライバー不足(試算で約14万人)を解消するため、鉄道や船舶(RORO船)などを利用したモーダルシフト輸送量倍増目標を掲げました。また、一定規模以上の物流量を扱う荷主の責任を明確にして、進捗確認等を担う「物流経営責任者」選任を荷主側に義務付ける方向のようです。また、置き配へのポイント付与の検討はBtoC対策であり、最も輸送量の多いBtoB輸送に関しては、今後数年で少し改善が進む施策のようにも見えます。

一方、サプライヤー側の商品設計・製造ライン変更・積載率低下・回収という課題を抱えるパレット規格統一化は、同一納品場所からのマテハン(パレット等)回収と貸出状況の把握・紛失時補償(1枚数千円の負担)の観点などから、原則10t車以上の手積(バラ荷役)禁止または相応額の追加料金支払(各々1回の積卸作業で3~5千円程度)を義務化するなどの併行施策と罰則も織り込まなければ、99%を占める中小運送事業者による仕事確保の原価割れ受注・多重下請け構造改善の先送りのように思います。

ただ、詳細は不明ですが国土交通省の「トラックGメン」が高速道のPA等でドライバーへのヒアリングを進めるなど行っているようです。また、創設(7月)から2か月で荷主側の不当行為(荷待・運賃など)に対して、120件以上の“働きかけ・要請”をしたと成果を発表しました。具体的違反行為の内容や罰則(勧告・社名公表など)が無ければ、下請法調査等で荷主が摘発の元となった運送事業者との取引を何らかの名目で取引を中止、新たな運送事業者と切り替えれば済む話で、荷主(発注者)には納品先の庭先条件(待機時間・納品方法・契約にない無償の附帯業務など)の改善と罰則、附帯作業等の有償化まで踏み込ませる必要性を強く感じます。