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陸上養殖ビジネス

2024年01月23日

農林水産省の「陸上養殖」に関する資料に、海の魚を水道水をベースに養殖でき、場所に関わらず魚を生産する漁業や水産業への認識が変わる取り組みだとありました。また、養殖での排泄物再利用も技術的に可能であり、山の中で野菜と魚を一緒に育てることも現実味を帯びているようです。当然、養殖の生産性、利益率向上には養殖場所(水温・気候など)、魚種の選び方などが重要になりますが、閉鎖循環式と呼ばれる海水補充を要さない生産方法もあり、需要が大きい地域の近くで生産すれば、輸送コスト・鮮度維持費用がさがり、地域の名産品として新たなビジネスとして成り立つ可能性は高いでしょう。

また、バイオテクノロジーが深化すれば、IoTや生成AI活用などで管理が自動化できる職場環境になり、都心からでもコントロールすることが可能になる蓋然性は高いと思います。既に国内ではチョウザメ(キャビア)、廃棄の多いキャベツを餌にしたウニ、トラフグの養殖(餌の関係で無毒化も可能と聞いています)、少し変わったところでは近畿大学のマグロ養殖などに関しても研究が進められているそうです。現状では、販売価格の高い魚種(ヒラメ・車エビ・アワビ)などが中心ですが、サスティナビリティや安全性、資源保護の観点から徐々に魚種が増加してくると思われます。一方で、高額な設備投資・施設維持、病原体侵入による出荷不能(全滅)リスク、複数種のハイブリッド養殖、関連法整備等、まだまだ解決すべき課題が多いものの、都心のビル内でLEDを使用した野菜栽培も実用化(採算性は不明)されていますよね。

日本の地方・中山間部では、後継者不足などで放置耕作地も増加しており、もし適切な土地(殆どは水資源が豊富)が農地法改正で企業が自由に使うことが出来れば、地元に新たな産業が創出され、若い人達の流出が減り、移住者が増えるかも知れません。その観点からすれば、陸上養殖は地方経済の活性化や少子化対策などにも好影響をもたらす国策の1つになり得ると考えています。