洞察力と教養
2024年03月25日
ビジネス社会では、異なる企業文化の一定以上の決裁権限(役職等)を有する方々との商談や交渉にあたって、問題の本質を深く洞察できる力として高レベルでの幅広い一般教養が必要であることが多くあります。例えば、哲学・社会科学・統計・データサイエンスなどかなり難解な分野もありますが、複雑なビジネス課題を解決するには専門性もさることながら深い洞察力がないとビジネス全体の方向性が曖昧になりがちです。編集人も先程の洞察力を身に付けたいと思い40歳から心理学・統計学・哲学などを学びに大学(2回目)に入学して、実際に授業が終わった後にその時点でのビジネス力に足りないものに気が付ければラッキーくらいの感覚でしたが、その後大きな影響を受けたことは鮮明に覚えています。
また、各企業では企業理念、ビジョン、バリューなどを作成していますが、ビジネスの原点・方向性がどこにあるのかを示す指標のようなものであると思います。企業理念では企業活動上で大切にしている考えや価値観を示し、ビジョンでは企業が長期的に目指すゴール(将来像)を示し、バリューでは理念・ビジョンに基づいて従業員がとるべき具体的アクションをわかりやすく言語化されたものが該当するのだと考えています。しかし、実際にこれらを正しく社内に浸透させるためには、上級職(役員・部長クラス以上)の行動や言動次第であるように感じ、私利を優先する上長とはなかなか腹を割った議論にまで発展しなかったように思います。
また、私利より利他を大切にする日本の「商売」について故松下幸之助氏の言葉を思い出します。書籍(パワーワード、主婦の友社刊)等には「ビジネスマンとして最も大事な心がけは人に愛されること」とあり、お客様に喜ばれること、お客様の心が読めること、お蔭様でという感謝の心を持ってお客様に接することとあります。その上で、適正利益を出して税金を納め次の大きな商売に結びつけていくのが本当のプロであり、組織が大きくなるとその意識は薄れがちになるリスクにも触れておられました。