オフィス鴻

「走るスマホ」の未来図

2025年01月20日

日本を代表する自動車製造業のトヨタは、ソフトウェアで車両に様々な機能が追加できる「SDV」の開発を異業種であるNTT、IT企業と協業を進めています。人工知能(生成AI)を活用して、車両自体がスマホと同じように使われる時代が徐々に近づいているように思われます。海外でも同様の動きが盛んで、次世代車の開発競争は人類にどのような未来図を見せてくれるのかワクワクすると同時に、そのスピードの速さに驚かされます。通常の車両に後付けで半導体を使った各種の機能を追加できる訳ですから、これまでのクルマの概念が全く別物になることも考えられます。

産業革命時に大きな社会変革が起きてから100年余りでまた新たな産業構造の大変化が起きていることを鑑みると、車両本体より附属品価格の方が高くなることは容易に想像できます。実際にこれらが実現して、更に実用化レベルになるにはもっと時間がかかるでしょう。また、これまでの自動車産業を支えてきた多くの日本企業も変革を余儀なくされることになり、新たな技術開発が企業存続には不可欠だと思われます。その中でこれまでは自動車産業とは直接取引のなかった企業群が加わることで、新たな「走るスマホ」の実態が明らかになってくるでしょう。しかし、車の高機能化・カスタム化が進む一方で、車の本来有している運転する楽しさなどが制約を受けることになれば、もはやクルマとは言えない別物なのかも知れません。究極的には、技術の進歩と同時に人間のありかたが問われる時代が近づいているように思います。

欧州では電気自動車普及からハイブリッド車へと政策が変更され、アメリカではトランプ大統領の考え方次第ではテスラを筆頭としたEV自動車が主流となる可能性があります。いずれにしても、地球の人口が90億人で頭打ちとなる予測が正しいとすれば、自動車産業の進化の次にはエネルギー・食糧問題が大きなテーマとなるでしょう。なぜ、アザラシや牛は食べても良く、鯨だけがダメと言った矛盾も解決されるのか興味を引くところです。