オフィス鴻

ふるさと納税と返礼品

2024年06月21日

75%の地方交付税補填がある自治体が多いふるさと納税制度で、過去Amazonギフト商品券の返礼品で問題視された泉佐野市は2023年度10月から導入された「5割ルール」という新基準により2割以上減少する見通しだそうです。編集人は、税金の還元施策には反対しませんが、制度に伴う経費負担(人件費、発送費、仲介手数料・事務手続き代行費用など)、産地偽造などは制度の主旨を逸脱する面が多く、法解釈の違いによりも行政責任者(市長など)の良識が問われる問題のように感じます。なお、ふるさと納税の主旨を守り、また「返礼品Gメン」を配置して不適切事業者を対象外としたり、地域再生の原資として使っている小規模自治体(和歌山県北山村など)があることも併記しておきます。

ここでは、行政トップのモラル欠如が如実に表れた例として取り上げましたが、地方振興や公共サービス充実という制度の主旨からすれば、ふるさと納税利用者の良識も併せて問われる課題だと思います。なぜ自分たちでもっと地域経済を良くする努力を怠るのか、Amazonギフト券や他地域で生産された米(無洗米)、食肉加工品(熟成肉)を返礼品として他行政地域のサービス低下を招くことは、自分たちさえ良ければいいと考えているであろう利用者や行政担当者の感覚の麻痺を感じます。当然、法制度に準じた仕組みの課題であるにしても、良識を逸脱した「制度の主旨を歪める」ことを行うことは、制度の不備を利用したということであり行政の在り方が見直されるべきでしょう。

もし、読者の居住地域でバス便が廃止される、子育て等の行政サービス低下やごみ回収が減少したら、どのように思うでしょうか。まさしく首長・議員を選んだ有権者の責任も大きいと思います。編集人は泉佐野市に何度も訪問しており、税収増を箱ものや仲介サイト手数料に使用するくらいなら、返礼品競争に頼らない行政運営の在り方と、将来への投資(産業育成、人材育成など)について、もっと模索していただきたいと感じます。