オフィス鴻

クロネコメイトの契約

2024年06月20日

今年1月末日、ヤマト運輸からメール便配送などを業務委託していた全国のクロネコメイト2.5万人が契約解除されました。アマゾンやウーバーと同じく個人事業主として業務委託契約を結ぶことで労働法の解雇要件に抵触しない(法律上の労働者にあたらない)との理由がHPで説明され、謝礼金や支援サイトを設けるなど最大限の対応をしたとあります。2月からは信書に関連して長期間敵対関係にあった日本郵政と不採算事業であったクロネコメール便で協業することで経営効率化を図っているように見えますが、知り合いがアルバイトしていたヤマト運輸の現場(営業所)では管理職が本社指示だと言って労務管理責任を果たしていないと感じていたそうです。

1月には国土交通省が貨物自動車運送事業法第64条に基づき、協力会社に対する長時間の荷待ち、契約外付随業務の強制、運賃の不当据え置き、過積載・無理な運行指示など、多数の法令違反行為があったとしてヤマト運輸に対して荷主勧告および社名公表に踏み切りました。同社は2022年にも勧告より緩い是正要請を受けたばかりで、ヤマト運輸は企業体質の改善を行えていない結果なのでしょう。特別積合事業は、小口貨物を集荷して複数のターミナルを経由しながら目的地へ商品を届ける運送ビジネスですが、物量変動が大きく現在のサービス(原則、翌日・翌々日配送)を続けるには常に協力業者をギリギリまで待機させてターミナル間の積載効率を高めることが、事業収益性を大きく左右します。一般的には集荷:幹線輸送:配達コストは2:6:2と言われており、特に集荷業務(荷主)に力を入れて価格・サービス競争をしています。

ヤマト運輸に限らず、今後も配達業者や幹線輸送会社の協力と適正水準の委託契約、荷主への価格転嫁なしには、宅配・路線ビジネスが破綻するのは時間の問題でしょう。それでも「送料無料」を堂々と謳う通販業者がいますので、国も是正勧告等の改善がみられない荷主・運送事業者へ最大100万円の罰金を科す法改正を進めていますが効果は限定的でしょうね。