トヨタグループ
2025年07月27日
トヨタ社自動車株を保有する豊田自動織機が株式の非公開化に向けた準備を始めたと日本経済新聞が報じました。同社の時価総額(4兆円超)の7割はトヨタ自動車株式であり、機関投資家が資本効率の悪さを懸念したとされています。また同時にトヨタ系SPC(特別目的会社)が同社株をTOBする検討に入っているとされています。ここで注目されるのは同社がフォークリフトや物流を主事業領域としている点で、他のトヨタ系グループ企業の株式売却も視野に入れているそうです。その他にも商用車分野では傘下の日野自動車と三菱ふそうが経営統合を図るとのことでしばらくは目が離せない展開になるでしょう。
特に日野・三菱は認証不正問題や品質管理における不祥事があったことで、物流業界へのトラック供給が一時的に途絶え運送事業者が新車を調達できない事態に落ちいったことがあります。この統合に背景には自動運転やEV自動車などの分野で中国勢(BYD社等)が市場を席巻していることに対する危機感の表れではないかとの観測もあります。実際に日本のトラック市場にはEV自動車を活用できるインフラ基盤(充電スタンド等)が脆弱であることから、導入を見送っている運送事業者も多くあります。しかし時代の要請である環境問題対応には、当面はEV自動車導入が最も迅速に行えると言う利点があります。
昨今再編が進む自動車業界ですが、日産・ホンダの経営統合は破談となり、その後日産は多額の赤字計上を強いられました。業界は異なりますがコンビニ業界でも再編が進んでいます。セブンイレブンのようにかつての勢いを失っている企業にとってはまさに正念場と言えるでしょう。日本企業に対する敵対的買収(M&A)案件も増えており、これまでの資本の論理が通用しないようなグローバル化と経営環境の変化が訪れているようにも思われます。物流業界自体も外資が席巻するケースが今後起こると予測しておく必要がありそうですね。