オフィス鴻

パフォーマンスと処遇

2024年09月07日

人事部門を管掌していると、経営者の考え方次第でもあるのですが変化を好まない保守的な運営をしていく管理職・担当者が多くいることに気付かされます。編集人はいわゆる外様組の部類でしたが、「人事制度は運用を開始した時点から陳腐化が始まるもの」という個人的な認識を基に施策立案していました。特に、日本型雇用形態の典型であった終身雇用制度からジョブ型・スキル型等へ転換する大企業も増え始めていることは、逆説的に言えばローパフォーマーの仕事・雇用はDX導入等によりいずれ保証されなくなることを意味しているといえるのかもしれません。終身雇用、年功序列、退職金などは過去のものとなり、本当の意味で企業と従業員が対等な関係で相互の利益を追求する競争社会に移行してきたと感じます。

特に労働力の流動性が提唱されて久しいですが、大手転職サイト等の募集要項を見ているとある程度はその企業の雰囲気が伝わってきます。結局は少数のハイパフォーマー(予備軍を含む)を奪い合う構図の縮図であり、盛んにM&Aが行われていることを鑑みればスタートアップ・中小規模企業は大企業等のグループ傘下に入ることで人員不足と経営課題解決の両方をお互いに補い合う関係が徐々に拡がってきたとも思えます。その観点では、非常にチャンスに恵まれる従業員もいれば、制度変更により不利益を被る従業員もいることになります。しかし、労働人口が減少していく中では国内マーケットは縮小(低成長化)していきますから、従業員間においても限られたパイ(人件費原資)を奪い合う構図になることは容易に想像できます。現在、ハイパフォーマンスを出して高処遇を得ている人材であっても、ビジネス環境の変化で永続性が保証されている訳ではないのだと考えています。

因みに、よく引き合いに出されるのが定年後再雇用者(雇用継続と引き換えの賃金引下げ)と就職氷河期世代の処遇ですが、見方を変えればこの先20年程度は企業にとっての生命線(需要とマーケット)を握っている世代と言えるかも知れませんね。