オフィス鴻

下請けGメンの活動

2024年07月28日

最近、国内主要産業である自動車製造業における不祥事が相次いで報告されています。トヨタ・日産なども例外ではなく約40兆円超産業とも言われる中で、サプライチェーン全体では大手部品メーカーを含めて下請け企業からの製品供給により成り立っています。編集人が思いつくだけでもいわゆる企業城下町を形成している地域は愛知県(トヨタ)、群馬(スバル)、埼玉(本田技研工業)、マツダ(広島)などがあり、実際に下請法違反事案として日産が公正取引委員会の是正勧告後も一方的な値引きをしていたとして再度処分を受けました。実際には最末端に位置する中小下請け企業への価格転嫁がどの程度進んでいるのかの公的資料は現時点で見当たりませんでしたが、これまで系列化によって実現していたJIT(Just in time)を中心とした適正な取引環境が適正価格による中小企業の賃上げとして実現できるのかは、これから明らかになっていくことでしょう。

しかし、下請Gメンの活動にもかかわらず荷主による下請事業者への不当な圧力は、公正取引委員会のHPに「下請取引の公正化・下請事業者の利益保護」として明確にうたわれているにも関わらず「親事業者の義務」「親事業者の禁止事項」「報告徴収・立入検査」「勧告(行政指導による是正)」について下請事業者が親会社を告発することは即取引停止に繋がる可能性もあり、毎年実施されている調査にもなかなか記載できないというのが本音のところでしょう。特に下請代金の減額、買いたたきの禁止、報復措置の禁止に関する違反行為は、親会社の担当者も上層部からの指示(予算等)で競争原理を理由にこれまでも度々摘発されてきた経緯があります。

現政権が今年6月に発表した骨太の方針でも、所得向上(iDeCo拠出上限引き上げ)、成長産業育成(半導体)、財政健全化、労働市場変革などが挙げられていましたが、果たして全国民にその労働価値・努力等に応じて平等に支援されるのかは未知数です。一部の富裕層・企業向けの優遇施策ならば、選挙で民意を問うことになるでしょう。