オフィス鴻

中小企業のM&A

2024年07月14日

あるM&A仲介会社から、このHPの一部を提供して頂いている親族の法人を企業ごと買収したいという打診があったそうです。最近は非常に多くのM&A仲介会社が設立され、大企業での新規事業や規模拡大を目的とした大型案件等以外にも、事業承継者不足問題などから中小企業にもその範囲は拡がっていると言います。編集人はM&Aに伴うDD(デューデリジェンス)も数多く行ってきたことから、親族企業の株式プレミアム(価格上乗せ)のレベル感はある程度まで推測できますが、中には悪質な経営者もおりDDによる事業譲渡契約の制限条項に抵触しないよう、利益源である事業の一部分や幹部従業員を他企業に移行することを隠して売却したりすることも実際に行われていました。

また、仲介事業者側もビジネスを成立させるためにリスクをプレミアムを適切に見積もらなかったりすることで、結果的に買収側が高い買い物となってしまうことがあります。買収者側は当然一定期間内でのプレミアム回収と、その後の成長性・利益貢献という納得感が得られなければ企業買収をしない選択肢がありますが、最近はサブスク型のSaaS(Softwear as a service)事業も若干飽和気味になりつつあり、更なる成長軌道へと載せていくには新たな視点での新事業開発を時間を掛けずに行っていく必要性は日本の消費者動向からも明らかになっています。

その観点からすると、日本は他国と若干異なる傾向があるように思えるのは、中小企業の中にも世界的マーケットシェアが非常に高い特殊分野(特に製造業)がある一方で、その存在価値がほとんど知られていないという事実があることでしょうか。しかし、事業承継においては複数のオーナー(株式所有者)の利害関係が複雑に絡まり合うケースも多く、また予想もしていなかった高価格で売却できたとしても想定外の譲渡益課税(様々な税務対策を行っていたとしても起こり得ます)が発生して税金資金確保に窮することもあるようです。