オフィス鴻

事業承継と後継者選び

2024年07月15日

編集人は40歳代の一時期、事業再生に携わった経験がありますが、資本と人材との関係についていろいろと考えさせられることがありました。もちろん、高度な経営理論に基づく革新的な事業構造改革などの能力は自己研鑽だけで身に付く訳ではないことは重々承知していましたが、理論では説明・解決できない人材の課題にも多くぶつかりました。特に、再生ファンドや外資系資本が入ることで良い面もたくさんありましたが、最終的に従業員が精神的満足感を得て会社に貢献するためには利益を上げることで事業を続けていく以外に選択肢が殆どないのも事実です。

さて、表題の事業承継と後継者選びですが、日本の中小企業は約300万社(全法人数の99%以上)あると中小企業庁のデータにあります。事業を続けていくには様々な経営能力が必要とされ、親族内承継・社内承継・第三者承継、さらにはM&A手法などいずれにも一長一短がありますが、最も重要なのは後継者育成方法と承継タイミング、そして既存従業員の納得性と成長共生にあると考えています。最近は人生100年時代とも言われ、70歳以降でも経営者として活躍する方も多くいらっしゃいますが、先述の資本と人材の関係性の観点から考えると、株式譲渡と経営権(持ち分)といった経営の根幹部分が相続等の発生(経営者だけとは限らない)により混乱する可能性も否定できません。また、優良資産を保有し経営が良好な会社ほど、未上場株式の価値が高くなり、事業承継前準備の重要性が認識されています。M&Aにしても、本当に従業員のためにならなければ仲介会社に多額の手数料を支払った挙句に優良資産を切り売りされておしまいとなるかも知れませんね。

編集人の親族が経営する会社でも、あと10年後にどのくらいの企業価値にしておきたいのか、後継者問題はどうしたいのか、また会社清算・譲渡にあたって必要となる内部資金留保の課題などを話し合いながら原則無借金(無理な投資は行わない)経営としています。借入金も会社の信用・財産のうちとも言われますが、いずれ返済すべき借金に違いないことは明白でしょう。