外形標準課税の改正
2024年08月17日
外形標準課税制度とは2004年から行政サービス経費は負担するべきだという考え方のもとに創設されました。適用対象となるのは資本金1億円を超える企業で、「所得割」「付加価値割」「資本割」の3点を合算して法人事業税の額として算出されます。その後、2024年には税負担の公平性・応益課税を明確化するために改正が行われました。その理由は、特にコロナ禍で業績が悪化した大企業(資本金)が減資をすることで適用対象外となり税負担の公平性が担保できなくなったことが大きな理由です。改正の主旨は、資本金1億円という基準は据え置き、減資・100%子会社等への対策が中心で、分社化・持株会社化による資本金の額の操作によって課税対象企業から免れることを防止することが目的です。
その背景には、各都道府県主税局の当該税収が2/3程度に減少していることが指摘され、経過措置・激変緩和措置も講じられました。例えば、エイチ・アイ・エス(旅行会社)、日医工(後発品製薬)は100億円以上、その他にもぐるなび(飲食店検索サイト)、出前館(料理宅配)、ペッパーフードサービス(いきなりステーキ)なども1億円への減資を実施しています。いずれも、業績が芳しくない企業ですが報酬給与額(報酬、賞与、退職金等の合計額)、純支払賃借料、単年度損益等に対する課税逃れ(違法ではない)を税務当局が問題視した結果だと言えそうです。ここでは、日本の税制体系全体については敢えて触れませんが、日本の国力が徐々に諸外国に比べて落ちてきていることも関係しているようです。
また、本質的な問題として日本の法人税の実効税率が諸外国に比べて高いため、海外での収益を現地法人に留保する企業が多いことも関係していると思われ、国際的に見ても課税ルール(TAXヘイブンなど)の公平性をどのように担保していくのかが議論され始めています。この話題を取り上げたのも、日本の所得に対する諸税・社会保険料等の負担割合が年々増えていることと無関係ではないからです。