大学全入時代
2025年05月12日
大学等の進学には、最も安い国立大学でも年間100万円程度(自宅から通学する場合)がかかります。私立大学などは更に寄付金(一応任意とされています)・設備維持費なども上乗せされるため、大学卒業(学士)まで数百万円必要な計算になります。政府は今年に入って多子世帯の大学授業料無償化(私立上限70万円、国公立同54万円)を閣議決定しました。要点は子供が3人以上いる扶養世帯が対象となり、就職等で扶養を外れた場合には対象とならない仕組みの様です。実際の導入は2025年4月入学分からとされており、既に対象外となっている世帯では不公平感を伴うことになるでしょう。
主な変更点は年収600万円以下の世帯が対象となっているのを改め、所得制限なしとする代わりに学業成績によっては支援打ち切り基準を設けるようです。これにより、現行制度の対象者(約20万人)は300万人を超える見込みだとさてていますが、少子化対策や進学の機会を諦めることが無いような社会にしていくことには有効性はあるようです。ただ、無料化されたとしても、その上限を超える金額は各家庭から捻出される訳であり、また世帯年収としない給付では編集人は他の社会保障制度との整合性も一緒に考える必要があると考えています。結局は税金の使い道に帰結するのですが、現在でも各自治体がそれぞれの名目で実質的に増税していることを鑑みると多子家庭だけの特例ではこの問題の本質的な解決にはつながらないように思います。
大学全入時代といわれ、多くの学校法人(私立大学)が定員に満たず募集停止・廃校になっている現在でも、特別な高等教育を行う上での教育格差は間違いなく存在しています。考え方の基礎の部分の詰めが甘いように感じられるのも、本当にこの施策で教育水準や将来の日本を支えていけるような制度なのかと疑問に思ってしますからです。もし編集人がこの課題に対する企画を考える立場ならば、奨学金制度をもっと拡充して一定期間働くことで減免する制度設計にすることを考えています。