高等教育と収入の相関性
2023年12月24日
厚生労働省「2021年度国民生活基礎調査」よれば、日本の世帯所得は総所得(配当、雑収入を含む)で平均564万円、雇用者所得で平均373万円となっています。出所は失念しましたが世帯所得の中央値は440万円前後と言われ、東京都の標準生計費(夫婦、子供2人)も20年間ほぼ同じ金額です。また、ニッセイ基礎研究所が発表した消費金額の多いパワーカップル(夫婦ともに年収700万円以上の世帯と定義)は、総世帯の0.6%(34万世帯)程度と推測されています。
なお、日本国憲法第二十六条(抄)に「 すべて国民は法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。」とあります。また、義務教育費国庫負担法(昭和二十七年法律第三百三号)により教員給与の行政負担が定められており、所得・地域格差が極めて少ない義務教育制度です。さらに、高校無償化や大学での給付型奨学金制度も一部で検討・実施されており、概ね現在の日本の教育システムにおける高等教育機会の公平性・平等性(学校歴は含まない)は、成績に応じて担保されているように見えます。
アメリカでは富裕層の子弟が高度な大学教育を親の支援で受けられる一方、教育ローン(元オバマ大統領も利用していた)を利用して30歳前後から大学・大学院に通い、自分の努力で収入水準を上げていく市民も多くいます。ただし、奨学金獲得には成績優秀であることなど諸条件も多く、学資ローン(連邦政府のローン、返済義務あり)の平均借入額は500万円以上と非常に高額だそうです。30歳代から主に収入増を目的に入学・卒業する方も多く、単純比較はできませんが日本は何を目的とした教育制度(特に初等と大学・大学院などの高等教育)を目指すのか再考すべき時期にあると感じます。