大阪万博と建設事業者
2025年10月11日
日本の建設業界は空前の人手不足状況下にあり、一般家庭でもちょっとした工事が数ヶ月待ちになることも少なくありません。編集人が居住する集合住宅のエレベーター交換工事では、既に2年以上前に発注しているものの、来年のGWあたりにやっと実施することが決まりました。このような状況下で大阪万博(EXPO)の海外館の工事遅れが発生したことは知られていますが、最近になって元請企業が資金繰りに窮したり倒産することで下請企業への未払いが数多く生じている報じられています。下請企業には中小零細事業者も多く、大阪府は建設業法の勧告を発しています。
そもそも論になりますが、この元請事業者の中には海外のコンサル会社やイベント会社も含まれているとされており、パビリオン建設は建設業法上の無許可営業行為に抵触している可能性があります。万博と言う大イベント開催にあたって行政・主催者側の責任がどこまで問えるのかは未知数ですが、少なくともこの未払いと言う点に関しては発注段階できちんとチェックする体制に不備があったと考えられます。経費高騰・突貫工事を強いられた上に未払いでは下請会社も怒り心頭でしょうし、東京オリンピックでも見られた利益供与と同じようなことが繰り返されたら今後は協力する事業者も見つからなくなるでしょう。
もう1つは入札段階で見積額が恣意的に低かった可能性があります。通常の契約では社会的通念の範囲で予期できない見積額を大きく上回った場合には、正当な理由があれば交渉可能としたり解除できる条項がありますが、建設業界ではこれが機能していなかったと思われることです。言い換えれば下請事業者の善意を元請事業者が利用していたとも考えられます。少なくとも3億円の未払いが発覚したGLeventjapan社(フランス資本企業)は「このままでは開幕に間に合わないと助けを求めて来た」と言いますから、発注したルーマニア・セルビア・ドイツ・マルタもマイナスイメージを被っているでしょう。