オフィス鴻

宿泊施設の戦略性

2024年07月02日

GWが終わり、あと1ヶ月もすれば本格的な夏休みシーズンに突入します。昨今の円安と外国人旅行者の急増で国内の観光地では多くの宿泊施設が人手不足も相まって大幅な料金改定を実施しており、JTBの調査ではGWのホテル・旅館等の客室単価が軒並み高騰(コロナ禍の2~3倍程度)しているそうです。編集人も難病治療のため主治医から海外旅行は控えるように言われており、トップシーズンを外した時期に3泊4日程度で療養を兼ねて国内旅行を楽しむようにしています。編集人の場合は、観光よりも妻とのんびり過ごすことが目的のため、ざわつき感のある宿泊施設は避け独立したコテージ型の宿泊施設(多少料金は高いです)を選ぶようにしています。

実際に、客室稼働率を50%程度(以前は75%程度が損益分岐点と言われていました)に落として客室単価を上げた宿泊施設では、人手不足を上手にカバーしながらきちんと収益が確保できているとも聞きます。もちろん繁閑期の集客差による料金変動はありますが、ブランド戦略という視点で考えれば行き届いたサービスを提供することがリピート客の確保に繋がります。また、希少性という稼働率とは真逆の価値を価格に反映できるのであれば、客室稼働率と言う設備型産業の宿命的制約条件から解放され、信頼性の高い安定した経営が可能になるでしょう。

その一方で1泊2日の旅行客が以前より増えていると感じることです。当然宿泊料金が高くなれば、コロナ禍以前と同じ予算でも2泊から1泊へと節約する消費者マインドが働くことは想定できます。つまり、旅行客の消費行動に変化が出てきたとしても、価値観の多様化だと捉えれば新たな経営戦略を実行するチャンスだとも言えそうです。ただ、その戦略の方向性として「「(単なる)サービス要員確保」とするのか、「接客のプロによる相応の待遇提供」とするのかは大きく異なるでしょう。編集人の個人的見解では、後者の戦略が地方再生、労働力移動の観点から経済的効果が高いだろうと考えています。