オフィス鴻

指定場所生活調整金

2025年10月12日

防衛省・自衛隊のHPによれば、自衛官の定員数は247千人で充足率は2024年時点で90.4%と公表されています。そのうち幹部は約5万人弱、残りは自衛官候補生や一般曹候補生であり今年から官舎で生活する入隊直後の自衛官に対して「指定場所生活調整金」という特別手当が支給されています。金額は6年間で最大120万円ですが、施設の老朽化も進んでいると言われており処遇改善は自衛隊能力維持・向上には必要不可欠ともされています。実際に自衛官は特別職国家公務員にあたるため副業はできませんが、高卒入隊で月額22万円強、大卒で25万円前後とされています。

また食事・医療・宿舎・制服等は原則無料、その他に週休2日・有給休暇(年24日)など一般企業に比べて福利厚生面が充実していることが挙げられますが、その任務の特殊性を鑑みれば個人特性はあるものの日常生活は十分に送るだけの待遇とも言えるでしょう。ちなみに平均年収は640万円程度とされていて、中間クラスに厚みがある人員構成となっているようです。一方で定年は階級によって異なりますが55歳~58歳と比較的早く、退官後の再就職などに課題があることも事実です。退職金に相当する「若年給付金制度」というものがあり、概ね1、000万円程度が支払われているようです。

このような施策は自衛官の募集は困難な状況(自衛官の定員割れ)が続いていることを鑑み、戦後最も厳しい安全保障環境に対応した防衛力の抜本的強化に対するものです。また国の防衛という厳しい任務を担うには、平素から自衛官は厳しい環境に耐え続けることが当たり前であるという組織文化の弊害も指摘されています。そして自衛官は身をもって我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つという任務の特殊性から、様々な負担や制約から逃れることはできないともされています。自衛官には、その特殊性に見合った処遇を得る必要があることも国民としてもっと理解するべき時期にあると感じています。