オフィス鴻

新規事業成功の難しさ

2024年08月26日

編集人は、現役世代(還暦を過ぎた今でも心の中では生涯現役を目指しています)にいくつもの新規事業立ち上げを経験してきました。最も簡単な手法としてM&Aによるグループ化・相乗効果創出がありますが、新規事業となると経営資源だけでなく奇抜とも思えるアイデア、成功への情熱を持ち続ける人材、そして時代の潮流にうまく乗ることなどが必要だと感じています。実際に詳細なマーケティングやプランニングを行えても次から次へと課題がでてくる不確実性(VUCA)に対応するには、ゴール設定も大切な要素ですが、それ以上に現在持ち合わせている経営資源をいかにうまく使い、小さな成功・失敗を繰り返しながら状況変化に柔軟に対応することが大切だと痛感してきました。

実際に、新規事業として複数の企業(社内起業・独立支援)を立ち上げて成功といえるのは4社(成功率40%)でしたが、概ね3年を目途に撤退基準を決めていたことで、既存の経営資源を活用して余分な時間を掛けなかった分だけ、他に振り向けるべき経営資源を無駄にせずに済んだとも思っています。最も成功した新規事業では売上1千億円、従業員1千人規模となり些少ながら黒字計上できましたが、もし既存観念にとらわれていたならば売上・利益目標に縛られて新たなアイデアや多くの軌道修正を行うことはできなかったと考えています。約7年間関わってきた当該事業は既に後進に託しましたが、これから先は後進が新たな風を吹き込み続けないといつの間にか普通の企業になってしまうことを危惧しています。

最近は生成AI技術やDX化の進歩などにより合同会社や社内ベンチャーなど、周辺事業分野を中心に新規事業に取り組む機会が増えています。昭和時代と異なるのは、失敗したとしても再度挑戦するチャンスがある社内起業制度を利用できる点でしょうか。成功すれば一国一城の主になれる可能性は高いですから、仮に失敗しても、その経験を活かせるよう次のチャンスを待てばよいのです。