日本のスタグフレーション
2024年03月18日
スタグフレーション(stagflation)とは、不況下(不景気)でも物価上昇が続く状況のことを指す言葉です。1970年代の石油ショック、フランス革命でのスタグフレーション発生事例があり、新型コロナウイルスの影響から日本経済での発生懸念を指摘する有識者もいます。前黒田日銀総裁が進めた「ゼロ金利政策」では、低金利による借り入れにより返済支払利子が減るため、個人消費や企業の設備投資などに余剰資金を回すことでの経済活性化を目論見ましたが、欧州中央銀行(ECB)などは、さらに進んでゼロ金利政策から中央銀行への預金金利をマイナスとする「マイナス金利政策」を導入しました。
新型コロナウイルスのパンデミック感染が落ち着きつつある中で、国債利回り、住宅ローン金利の上昇が始まりました。一般的に景気が良いとされる経済状況とは、取引活発化により、企業の売上げ伸長に併せて賃金が増える状態を指します。しかし、30年近くデフレ経済続いた日本では、経済活動が以前の状態に戻りつつも賃金上昇度合いは鈍く、物価上昇だけが続いているように感じます。また、ほぼ全ての商品・プロダクツが数度の値上げを行い、インフレに賃金上昇が追い付かず必要最低限度の購入・サービス利用に留めるなど、景気回復を実感しずらい国民がまだ多いのではないでしょうか。
更に、一定数の高齢者層などが年金以外の収入を得るために労働していた就業条件の良くない職場(タクシー乗務員、交通誘導員など)では離職した人材は戻らず、政府は外国人労働者の受け入れ緩和などの施策を打ち出していますが、場当たり的であったり効果を実感するには時間を要するものが殆どです。慢性的な企業業績不振が賃金上昇の足枷となっている現状を構造的に変えるには、IT化推進による効率化、商慣習(中間流通における非効率の際たるもの)の見直し、そして中長期的な視点から収益拡大に貢献できる人材への投資(高度な教育機会の無償提供)などにもっと目を向ける必要性を感じます。