オフィス鴻

正社員待遇の引下げ

2025年02月20日

2024年7月、非正規従業員との待遇格差是正(改正労働契約法第20条;同一労働同一賃金)について、正社員の待遇を下げることで格差を是正することを容認する最高裁判決がありました。最近の若手層を中心とした大幅賃上げが実施される中で、多くの従業員(労働者)に不利益変更となる格差解消策が認められたことは編集人にとっても大きな衝撃となっています。正規雇用・非正規雇用間の処遇格差は不合理性を個別に判断するとの判決内容でしたが、労働契約法第10条による不利益変更に合理性(不利益の程度・労働条件変更・労働組合等)が認められ、かつその後に就業規則変更及び従業員への周知があることを条件としました。

従前ならば、個別案件として労働審判・裁判を含めた解決策(妥協案)を管轄してきた厚生労働省でも、働き方改革を進める上で非正規従業員の処遇改善指導を行ってきた労働政策自体を見直すことになりかねない今回の判決が法理として確定したことで多くの日本企業に与える影響は大きいと考えていると言います。つまり、非正規従業員の処遇改善を行わなくても正社員の賃金削減が可能になったことで、正規従業員に職務とは関係なく支給されている各種手当(住宅手当・家族手当など)を人件費削減のために廃止することを有効としました。編集人もこの点については人件費削減策でない限りは賛成しますが、時間外労働手当等によって生活を維持してきた多くの従業員はダブルパンチになると考えています。そして、将来的に日本企業の生産性向上に繋がったとしても、労働人口減少がもたらす副作用が起きると考えています。

また、厚生労働省の就労条件総合調査によれば各種手当は所定内賃金の13%(月額5万円弱)を占めていますので、賞与・退職金などの基本給に連動することで更に可処分所得減少が生活を圧迫する可能性も指摘されています。最終的には職務遂行成果給として処遇に反映されることは良いと思いますが、従業員自身も自分の労働価値を見直すきっかけになればと思います。