オフィス鴻

病院経営と診療報酬

2025年02月07日

日本経済新聞(2024年11月)からの一部引用を含みますが、コロナ禍を経て東京近郊の病院では、患者数の減少(入院患者▲8%、外来患者▲10%)・人件費上昇・食材仕入れ価格の高騰などにより全体の半分近くが赤字経営状態にあるとのことです。地方での医師不足・診療科減少などは以前から有識者によって指摘されていましたが、編集人の主治医がいる大学病院でも病床数が約10%削減され、系列病院の閉鎖、診療科の統合等も行われています。また、高齢者を中心とする医療費膨張が国家財政に大きな影響を与えていることは以前から指摘されていましたが、厚生労働省の資料では平均入院日数は約70%が14日以下、15%が30日以下と減少傾向にあるのに対して、65歳以上は40日前後となっています。

特に病院給食は治療の一環でもありますが、公定単価は1日3食で1,920円(1食640円)で昨年1食30円の値上げが実施されました。多くの病院では外部委託するケースが多いようですが実質的に赤字発注をしている病院が殆どだと言います。編集人が通う病院でも、食事についている水分(お茶など)・ふりかけ等が殆ど出なくなり、自分で購入して対応しています。また、患者ごとに病院食には細かな対応(食材の大きさ、塩分、摂取カロリー量など)が必要で、実際に身をもって体験すると明らかに食材の質が低くなっていると感じています。一方で、出汁(だし)を上手く使うことで以前よりは食べやすくなっているようで、管理栄養士さんや委託先の努力があってこそのことだと思います。

表題の診療報酬の仕組み・決定方法は病院経営には携わったことがないので病院経営の深刻さは正確には判りませんが、昭和時代に建設された建物の老朽化が進んでいる医療機関も多く、50年以上経過した建物の建て替え時期にもあたっています。また高額な医療機器(MRIなど)を揃えて差別化を図るクリニックも増えており、病院経営がある意味で転換期を迎えているのかも知れません。