オフィス鴻

社内起業家の存在

2024年06月17日

ソニー・ミュージックエンターテインメントの元社長であられた丸山茂雄氏が日本経済新聞の「私の履歴書」に書かれていた「丸山学校」は、新たなレーベル(他企業では社内起業と同義だと思っています)を立ち上げられるような人材を社内で育てたいという思いから取り組みを始められたそうです。そこには比較的大規模な企業では自分の担当業務には詳しくても、新たな企画を早急に立ち上げる時など、例えば経理、財務、契約法務、著作権管理など営業職があまり詳しくない分野でも、中堅層から選抜したメンバーに各部門の専門家から話を聞かせて参考にしてもらい会社のどこに駆け込めばスムーズにことが運ぶのかというノウハウを会社全体に浸透させたいという強い思いがあったからだと言います。

最近はファンド等が出資するスタートアップ企業も多くなりましたが、能力や人柄などが把握できている自社従業員の創意工夫を社内起業と言う形で粘り強く継続していく方が合理的であり、資金も出し株式等の成功報酬も与えることで創業者としての面白さや苦労を経験してもらいたいと考えておられたそうです。特に大企業であれば仮に失敗したとしても職場復帰は可能ですから、社内企業であれば起業に及び腰となることでも幹部候補人材に貴重な経験を積んでもらうことの方が企業としてプラスだと考える企業も増えてきました。また、大企業では欧米等でMBA(経営学修士号)を取得した方をエリートプロ経営者として昇格・招聘することが多くありますが、チャレンジ精神がある人材にとっては転職リスクを負わずに資金調達ハードルが殆どなく独立して経営者になる(起業)ことも選択肢として魅力的にうつるでしょう。

私事で恐縮ですが、編集人も数度の社内起業でたくさんのことを学ばせて頂きました。また、多くの失敗経験から成功へのメンタルが育つのだとも感じています。特にロジカル(論理的)思考で正しいと思うことを優先したとしても、人心掌握ができていなければ難題に遭遇した担当者の離職などでとん挫する可能性は否定できないでしょう。