オフィス鴻

観光大使制度の活用

2025年12月23日

日本経済新聞の総合欄に、自治体が地元ゆかりの人に委嘱する「ふるさと大使」制度が地域振興の一助になっているという記事が掲載されていました。有名なのは滋賀県出身のシンガー西川貴教氏で原則無報酬で毎年音楽祭を開催しており、その経済効果は累計100億円を超えるとされています。各自治体では観光大使選定について独自の基準を定めることが出来るため、設置要綱等を定めて運用しているようです。この観光大使制度を設けている自治体は日本全国で500に近づいており、導入率伸び幅では滋賀県・岩手県・山梨県・長崎県などが上位を占めているとされています。

また一部の自治体では地元出身者以外にも地元を愛してくれる方々を文化大使としてお願いすることもあり、そこには新たな経済効果を見込む戦略も浮かび上がってきます。実際に地域青年協力隊等との競合・共存関係も生まれているそうですから、地域再生の1つの試金石となる可能性をも秘めているでしょう。その他にもルール変更が頻繁に行われているふるさと納税が、仲介業者を介することなく各自治体への実質収入が増える効果も期待できます。また東京都内を中心としたアンテナショップを設置することで、その地方特有の魅力を広めていくことも大切な施策といえるでしょう。

一方で全く課題がないわけではありません。特に著名人等が個人的なトラブルを生じさせた時には、その自治体にとってマイナスのイメージがついてしまうリスクも存在します。実際に複数の自治体では芸能人の不祥事によって、観光大使委嘱を中止したところも存在します。観光庁でもオーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策を講じながら、地方誘客及び旅行消費拡大を進める中で令和7年3月に「観光地域づくり法人の登録制度に関するガイドライン」を改正しました。このような取り組みが官民一体となって今後拡大してゆけば、新たな日本の姿が見えてくるのかも知れませんね。