オフィス鴻

貢献度に対する評価

2024年08月30日

編集人は、これまでいくつかの事業会社で人事制度を作ってきましたが、常に頭の片隅に置いていたのは「貢献度の評価と報酬の連動性」と「総額人件費のコントロール」でした。特に承認欲求が強い人は客観的に自身の能力を把握する視点に欠けるため、周囲の従業員に悪影響を与えてしまう可能性が高く、仮に高学歴であっても業務適性が無ければ徐々に非戦力人材と化してしまう懸念があります。最も難しいのは、評価と報酬の連動性を理論的に説明できないケースが少なからず存在することです。そのため、人事制度は作って実行に移した時点からすぐに陳腐化が始まると考えており、本来の目的達成へのロードマップとは異なる手法(例外規定など)を取り入れてしまうと、殆どの場合どこかに論理的矛盾が露呈します。

そのため、必ず入れていたのは経営幹部全員(本部長クラス)による他部署を含めた課長職以上の管理職評価の実施でした。中でもバックオフィス業務は評価対象となる定量値目標設定項目が少ないため、一部の企画部門を除いては相対的に高い評価をつけづらいため、専門職としての適性・定性面をどのように評価として反映させるのか非常に苦労しました。そこで取り入れたのが、前後工程業務への貢献度という基準です。本来であれば能力(スキル)を基準にするやりかたが評価軸として導入しやすいのですが、能力が発揮されることが条件となると安易な数値目標で高評価を得ることをある程度は防止できます。先述の総額人件費コントロールも、前後工程にプラスになる仕事の進め方をしていれば必然的に余分なコスト(人件費・作業時間・品質等)が削減できますので貢献度として評価することができます。

最近は、ベンチャー企業や大企業(製造・IT関連)を中心に若手の給与水準が高くなる傾向にありますが、そもそも従業員が転職によるキャリアアップの一段階として評価より高度なスキル獲得、上位役職(マネジメント)に重点が置かれていることでしょう。つまり目立たない貢献度を評価することは、企業人材の底上げを意味していると考えています。