オフィス鴻

販売とマーケティング

2024年11月02日

経済用語の1つに販売機会損失と言う用語があります。その意味は「本来得られるはずの利益を得る機会を失った状態」であり、原因は様々ありますが企業(販売者)が何らかの理由で儲けそこなった状態と考えることが出来ます。サービス提供ビジネスでは、売り物(商品)が無ければ売上を上げることは出来ませんよね。当然、利益(=売上-原価)が出せない状態ではビジネスとして成立しませんから、最も典型的なのは「過剰在庫ロス」と「在庫切れロス」が販売機会損失の2大要因と考えられます。例えば、セール等でお目当ての商品が売り切れていたり、繁盛している飲食店で訪問しても食べたかった料理が売り切れとなっていたら、その後なかなか同じ店に行ってみようと言う動機づけが弱くなります。逆に商品数が限定されていれば、行列してでも購買したいという一種のブランドビジネスとして品切れを武器に価格転嫁することも可能だということです。

つまり顧客の購買動機に繋がる販売価格設定とは、BEP(損益分岐点)と商品構成・組み合わせというマーケティングの二律背反的な微妙な関係性の上に成立しているのだと編集人は考えています。売れ残りリスクは通常販売(原価)の4倍の利益棄損を産み出すと言うデータがあったとしましょう。仮に粗利が3割だと仮定すると、定価で4個以上売れて初めて収支が黒字になるという感じですね。そこで何とか売れ残りを出さないためにタームセール等で価格を下げて販売する方法を採用しても、顧客はその価格が当然と感じてしまえば結果的に値引き販売している(利益を減らす)ことと同じです。

ただし、ここでは全ての値引き行為が悪影響を引き起こすわけではないことに留意する必要があります。単純化すると良い値引きとは不良在庫を全て売り切る価格設定(マーケティング)によりキャッシュ・フローと在庫破棄を最小限にしながら粗利を最大化すること、悪い値引きとは在庫資産の劣化で金銭価値が下りB/Sを棄損させることだと考えています。