退職勧奨
2025年04月10日
上場企業の退職勧奨等による早期・希望退職者数が昨年1万人以上に増加しています。退職勧奨自体は違法行為ではないものの、過去の判例等をみても違法性に関する判断基準は非常に難しく、また退職勧奨を自社内で行わずに専門のコンサル事業者に任せてしまう企業さえあります。編集人も懲戒処分に相当するような経営層・上級管理職の職務調査を行い、経営トップに報告してその後は経営トップの指示を仰ぐことも経験しています。また、業績不振により実質的な事前選別(事前に弁護士等へ違法性のないことを確認しています)に近いリストラ(退職勧奨)を数百人規模で人事役員として行ったことがあります。この場合も、希望退職募集方式でしたから「いずれ自分も自己都合退職するだろうな」と感じていて、実際に当該業務が終了した後に退職届を提出しています。
最近の傾向として、黒字企業でも新たな経営・事業構造改革による人員構成を検討した段階で予め余剰となる従業員の目星を付けることが多いようです。そのため、絶対に残ってほしい従業員には特段のミッションを与え、逆に退職して欲しい従業員には合意解約(双方の意志によって退職すること)という退職勧奨を行うことになるのです。ここが非常に重要な点で、あくまでも退職に合意するということが合法性を担保する最大のポイントであり、執拗な面談等は一切行わないことが重要です。退職勧奨された従業員ができることは、企業側の圧力があれば記録として残しておくこと、退職の意志が無ければその旨をきちんと企業側に伝えることです。もし、それでも退職勧奨が続くようであれば、労働組合・ユニオン等に相談するか、各地域の労働局に相談してあっせんを選択することが出来ます。
最終的には、従業員自身が今後どうしていきたいのかを考えることが第一です。その考え方の方向性に沿った対応をすることが自分自身を結果的に守ることになります。ただ、1点考えなければいけないことは、これまでの自分の仕事の進め方等に真摯に向き合うことだと思います。