魅力ある経営と事業継承
2024年08月23日
企業の永続性について様々な文献を読みましたが、身近なところでは中小企業の事業承継問題が挙げられています。創業者は人間的魅力に優れている方が多いのですが、その一方で後継者育成まで事前準備をしている企業は少ないように思われます。特に事業ノウハウ向上や資金繰り業務を創業者(社長)が自ら行っていると、万が一創業者が就業できなくなった場合には抱え込んでいる仕事がネックとなり社内が大混乱に落ちるリスクがあります。また、社長業は孤独との戦いの連続だと言われますが、信頼できる相談相手がいないこともあるでしょう。
最も会社の実情を数字で正しく把握している顧問税理士や中小企業診断士等との関係性が良好であることは大切ですが、月次決算確定が10日以上かかるような経営管理状況では緊急時の対策にも限界があります。また、顧問契約はあくまでも業務委託契約に準ずるものであり、企業の永続性を保証するものではありません。つまり、ビジネスライクであり最後まで面倒を見てくれるわけでは無いということです。最近はM&A仲介会社や人材紹介会社、ファンド系企業などが事業承継の手段として活用するケースもありますが、それはあくまで事業再生や一時的な改革を行う場合の選択肢の1つだと考えています。
そのような観点から事業経営を俯瞰してみると、順調に業績を伸ばしている企業でもコロナ禍やリーマンショック等の緊急事態に対応できるとは限らず、むしろ隠れた人的資源の存在を普段から意識しておく必要性が高くなりつつあるように思います。その理由として、同じようなコンセプトで若干他社との違いを出しただけの業態(タピオカ・焼肉・居酒屋など)の廃業・倒産があります。魅力があると思われる経営(者)は、常に何か新しいことを追いかけて夢中になって努力している点で、いわゆるサラリーマンのゴールである社長がチャレンジしない(無事に任期を終えたい)のと対照的だと思えるからです。