オフィス鴻

M&Aで生じるのれん

2026年01月23日

編集人が複数の企業勤務時代に経営企画部門での業務を経験してきましたが、企業買収(M&A)時に相手方の会社を評価するDD(デューデリジェンス)はその企業の本質的な価値を探す貴重なチャンスでした。コンサルティング企業にDDを委託すると定量的な経営的数値に関しては正確に分析されているのですが、定性的な企業風土・社員間の関係・潜在的な不満などには殆ど言及されることはありませんでした。実際に今後一緒の職場の仲間として現場で企業風土を馴染ませようと努力はするものの、中にはM&Aに対して否定的な言動をとる幹部がいたことも事実です。

さてグループ会社間のM&Aを除けば、殆どの場合は企業価値と買収価格に応じて「のれん」という企業価値会計処理が実施されることがあります。様々な資産(建物・機械など)が償却される中で、日本の会計基準ではのれんの償却は行われていません。その背景にはのれんを償却しない方が会計的メリットが多いケースがあることや、外部から「のれん」についての理解がしづらいことなどが挙げられます。特に正ののれん・負ののれんといった一般では聞きなれない言葉が理解を深めるための障壁にもなりますが、世界標準の会計基準(IFRSなど)に近づけることは大切でしょう。

実際に企業業績開示に於いて、この「のれん」が大きく影響することは多々あります。編集人は先述の金銭的企業価値を算出にあたって、営業力・技術力等がのれんとして計上されることは知っていますが、定性的な企業風土・人材評価なども含まれているものと考えています。しかし大切なことはそこにある企業背景を理解する努力だと思っていますが、実際のM&Aでは一部の経営者によって決定されるケースが殆どでした。日本企業の潜在力の源泉であると言われる定性的評価は海外の合理主義的な考え方とは中々相いれないことも事実ですが、それこそが日本文化の一端だと感じています。