オフィス鴻

P&G社の凄さ

2025年05月30日

編集人が30歳代の頃に勤務していた東京青山にある専門商社で取引先であったP&G社の従業員の凄さに何度も驚かされた記憶があります。他のトイレタリーメーカーの営業手法とは全く異なり、標準化された営業手法に加えてとにかく仕事が早いのです。当時は単純に個人の能力差と外資系であることが強みのように感じていましたが、現在のリクルート社と同じように次々と従業員が新たな領域(転職も含む)に挑戦する姿は憧れすら感じたものです。特に当時の中間流通は既存権益が大きく、同社の戦略性・パートナーシップの根底にある考え方などを学ぼうにも他に参考にできる資料などなかった時代です。その中でも日本の流通制度改革(取引制度)や商談に於ける個人の裁量が大きい組織編制については学ぶところが多くありました。

結果的にある事(経営陣に対する不信感)がきっかけとなり専門商社を15年で退職することになりましたが、当時のことは今でも鮮烈に覚えています。特に複数の大手メーカーと協働でプロジェクトに末席ながら参画できたことは、編集人にとって今でも大きな職業上の財産になっています。例えば市場・製品の持つポテンシャル(可能性)・消費者ニーズ・シェルフ(棚割)は今では様々な手法が確立されています。そこに定価販売という小売店にとっては粗利率向上、中間流通業者(卸売業)にとってはメニュー・プライシング(機能ごとに価格が変動する)を導入することで商談の質を高める取り組みが行われていました。その中でも最も参考になったのはNO返品が当たり前だったことです。

実際に編集人も転職後にこのP&G社の営業手法を自分なりに解釈しながら少しずつ取り入れていったことで、特にこれまでとは異なる目線でのビジネスを進めることができたことに心から感謝しています。先述のNO返品はSDG’sに関連する環境保護活動だけでなく、実際に返品にかかるコストが如何に大きいのか(通常納品コスト×4倍+廃棄費用)を実感したことで俯瞰の重要性を教えて頂きました。