オフィス鴻

いなば食品の誤算

2024年08月15日

いなばペットフード株式会社が発売した、ペット用食品(おやつ)のCIAOちゅ~る(猫)、ワンちゅ~る(犬)のCMではペットが飛びついて舐める様子が話題になりましたが、最近はCMが減少してきているように感じます。親会社のいなば食品工業株式会社と言えば、30年以上前から静岡県(由比)の本社工場でツナ缶をメインに製造していて、当時としては衛生面も含めた最新鋭の設備を備えた工場だったとの記憶があります。編集人もその工場へ毎月1回調味料(液)を納品した経験があり、なんとなく親しみを感じる企業です。

しかし今年4月に複数の新入社員が入社辞退したと様々な媒体で報道されました。その原因は、老朽化した社宅(シェアハウス)が「ホコリやカビ、劣化による汚れが不潔だった」「生活家電用品が備わっていなかった」ことと、募集時に提示された給料と実際に支給された給与額が少なかったことだと辞退者が証言しているにも関わらず、会社側の不誠実ともとれる対応に疑問があったからだと言います。昨今の人手不足の中で新卒は空前の売り手市場と言われまていますが、「CIAOちゅ~る」で知られるいなば食品に憧れて入社した新入社員への一般的とも思える心配りがなぜ出来なかったのか、経営層を含む人事部門が正常に機能していなかった理由はHP上で4月12日付プレスリリース(由比のシェアハウス報道について)から垣間見ることができます。

不祥事対応が企業存続を不可能にする例は、過去にも「船場吉兆」による食べ残し食材の使い廻しの記者会見などが挙げられます。今回の報道に関していなば食品の説明によれば、「今年1月に新卒採用を管掌していた副社長が急逝したため、3月15日付けで新総務担当を任命したものの業務引き継ぎ体制の整備に時間を要した」ことが主原因であると、まるで他人事(他責)のようなプレスリリースの内容でした。また、内定者114名のうち入社辞退者は16名だけであったとも記載されていますが、信頼回復には程遠い内容に思えます。