オフィス鴻

バリュー・ベースド・ヘルスケア

2025年01月27日

日本の皆保険制度は世界的でも非常にレベルが高いものの、高齢者増加や高額な薬剤が保険適用されることで益々財政面での負担が大きくなることは必然の流れでしょう。アメリカでは民主党のオバマ政権が「オバマケア」と呼ばれる国民皆保険に近い制度導入を検討しましたが、政権交代で実現できなくなりました。その背景には、アメリカの医療は「バリュー・ベースド・ヘルスケア」という概念が定着していて、量より質を優先した価値に基づく医療提供が行われていることがあります。実際に平均寿命は人種によって差があるとされており、その原因として挙げられているのは、保険制度に加入すれば月額500ドルかかることから無医療保険加入者が2,700万人いることだとも言われています。つまり、保険に加入できずに医療を受けられない国民が相当数いて、自然の摂理に従った形で平均寿命に差がでてくるのです。

アメリカの医療費が高いことは良く知られていますが、治療内容に際して医師と保険会社が話し合いを行い、保険に加入していても全ての医療行為が受けられるわけでは無いことはあまり知られていません。日本では医師の判断に基づき患者の同意の下で治療が進められますが、入院していると主に金銭面が要因だと思われる患者が食事を拒否(法律で食費は保険外で患者が負担する)する場面も見ました。また、民間の医療保険に加入していないと思われる患者も多く、無料の病床(差額ベッド対象外)は常に満床が続いているため、入院をためらう患者も多いそうです。実際に対GDP(国民総生産)比での医療費比率をみるとアメリカが16%、日本は12%との統計データがあり、如何に日本の医療制度が国民にとって有難いものかが判ります。

一方で、国民健康保険加入者のうち企業勤務者は、健保組合加入者へ企業が半分負担して健保財政を支えています。医療もビジネスと言えばそれまでですが、「地獄の沙汰も金次第」ではない日本の医療制度に感謝しています。