オフィス鴻

フランス料理でのソーシエの役割

2023年05月10日

日本でも導入が進む「ジョブディスクリプション(job description、職務記述書)」と「フレンチ厨房の役割分担」が、「職務に見合った人材の採用」や「能力・成果に応じた適正な待遇の決定」などと似ていると思い、友人のオーナーシェフにいろいろと聞いてみました。フランス料理の厨房は、部下育成・レシピ考案・厨房の環境維持を行う「総料理長(シェフ・ド・キュイジーヌ)」、サポート的役割を担う「副料理長(スー・シェフ)」、「部門シェフ(シェフ・ド・パルティ)」で構成されています。

また、部門シェフ(シェフ・ド・パルティ)は、スープ・前菜・卵料理担当のアントルメティエ(entremetier)、冷製メニュー担当のガルド・マンジェ(garde manger)、魚料理担当のポワソニエ(poissonnier)、、肉料理担当のロティスール(rotisseurs)、デザート・菓子・パン担当のパティシエ(patissier)などがそれぞれの専門性を活かして、厨房全体でさらに高いサービス水準を目指しています。そして、フランス料理には欠かせないソース作り担当のソーシエ(saucier)は別格で、総料理長に匹敵するそのお店の看板を背負う技量と責任を求められるそうです。そのほかにも、「アプランティ(見習い)」に下準備・清掃などの業務経験を積ませ育成も担当しています。

時に、利他の精神に乏しく、自己中心的な考え方を押し付け、責任は回避する管理職を見かけますが、諸事情はあるにせよ、このような上司の下では成長を望む従業員にとって優れた環境とは言えません。日本の企業で将来性を期待された有能な人材が職場(環境)に早々に見切りをつけて「夢」を実現するために他社へ流出する原因の多くは、合理的配慮・判断力の劣る時の運などを本当の実力と勘違いした管理職、処遇決定の不透明さ、本人の実力過信・我慢不足などにあると考えています。