プロ職人の修行
2023年12月04日
昭和・平成中期位まで、大工棟梁や料理人、理容師など職人と呼ばれる職業が数多くありました。日本にはドイツのマイスター・中国の特級厨師のような職業資格制度はありませんが、下働きを経て5~10年程度の下働き(修行)を経てでのれん分け・独立することが多いようです。現在は、昔ながらの修行が出来る個人経営の飲食店で追い回しから焼き方・煮方などを経験して一人前の板前(花板、脇板)を目指すより、より簡便な企業店舗の従業員として仕事を選択したり、人手不足や海外での日本料理(寿司など)ブームもあって、職人養成学校を出て店舗に立つケースも多いと聞きます。例えば、現場を仕切る板前さんが料理長となり、その他はアルバイトを含む従業員と言う飲食店も多いのではないでしょうか。
かなり以前に聞いた話ですが、知り合いのシェフが有名な飲食店で修業しているとき、お客様が食べ終わって下膳された皿にわざと塩を入れる料理人が居たそうです。その理由は、皿にわずかに残ったソースなどの味を洗い場のスタッフが味見できなくするためです。今では、食品成分分析機で原材料の配分は容易に判明しますが、仕込み方までは分からないため、先輩から直接指導を受ける以外は「技を盗む」くらいの覚悟と探求心がないと、本当の意味での一流(流行り・廃りは別)にたどり着くことは難しいそうです。飲食業以外でも「門外不出」とされる職人技はたくさんあり、お客さまから相応の料金を頂戴して満足していただくためには、隠れた技術・努力も必要でしょう。
最近観た番組に、強面のパティシエが経営する洋菓子店の厨房の様子が流されていましたが、常に丁寧で妥協のない仕事をする姿勢の中に、厳しい指導の中にも従業員への「優しさ」を感じました。大手企業では配属ガチャ(希望と異なる部署への配属)が原因で早期離職する人が増えていますが、異動はこれまで気づくことのなかった部署の重要性や魅力を経験できる大きなチャンスだと編集人は考えるようにしていました。