オフィス鴻

リファレンスチェック

2023年12月17日

リファラル(referral)採用は、最近の人材(労働力)不足と相まって、人材紹介会社を介しないで社員等とのつながりを利用する採用方法の1つです。企業側のリスク(転職紹介手数料、短期離職、教育研修など)が抑制できる上に、その企業風土や仕事の進め方などについて事前に現役社員がある程度の相性・選別をしてから所属企業に紹介するため、より質の高い人材と企業とのマッチング精度が高くなると言われています。言い方を変えれば、一般採用に比べて企業文化・価値観の親和性(組織にすぐに溶け込める)に優れているため、即戦力として活躍できる可能性が高い人材とも言えます。

似たような採用方法に縁故採用がありますが、血縁や取引先との関係から生じる採用方法ですから、必ずしも採用する側の企業文化・風土との相性(マッチング)が良いとは限らないです。また、採用側の経営者が求める人材でない場合に、処遇(退職を含む)を含めた取引関係・人間関係に悪影響を及ぼすことも想定されるため、編集人も人事部門を管掌していた時は余程の事情がない限りは一般採用基準と同じレベル(面談回数だけは1~2回と少ない)で評価レポートを作成し、最終判断は紹介者と経営層に対して人事部門から見たコメントを付記していました。

いずれのケースでも、内定を出す前に履歴書や面接で引っかかり(退職理由など)を感じた場合には、前職の会社(人事部門)に連絡を入れ、リファレンスチェックという一種の調査を行いました。当然、個人情報に該当しますから相手先企業も直接的な表現は避けますが、お互いに同じ人事と言う仕事柄、会話の中のトーンや間で大凡のことは感覚的に掴むことができます。特に、退職にあたって何らかのトラブルを抱えていた場合、応募者に対して使う言葉の中に良い表現が無いなどヒントとなることが含まれていることが多いです。どんなに素晴らしい履歴書、職務経歴書であっても、面接の中で自己矛盾を起こしている応募者の特徴には概ね同じような傾向がありますから、採用担当の感性から企業風土と合わないと感じた場合には、採用を見送る勇気も必要でしょう。