オフィス鴻

リモートワークからの回帰

2025年01月23日

ヨーロッパ諸国では独自の文化を大切にしていますが、移民・難民を大量に受け入れてきたドイツでも財政(税金)負担が限界に近づいているだけでなく国民の失業率も上がる傾向にあり、極右政党を支持する国民が徐々に増加しています。また、アメリカでは物価上昇・治安悪化・人件費高騰からコロナ禍が収束傾向にあるものの、経済活動に於いてアメリカの大手企業ではリモートワークから出社への回帰傾向が見られるようになりました。同じく日本でも出社日数を増やす企業が増えており、従前とは異なる時差出勤等を含めた新しい働き方も併せて導入されています。ここで従業員側がなぜ出社回帰に企業が向かい始めているのかを考えてみると、2つの要因があるように感じます。

まず1つ目の理由は、企業経営者がリモートワークによる弊害に目を向けました。当初は従業員の通勤時間・通勤交通費の削減、自由な住環境の選択、自律性の涵養など良い面が強調されていましたが、実際に経済活動の成果としてリモートワークによる生産性向上と、経済循環による業績回復などに殆ど結びついていない実態が明らかになったことがあると考えられます。具体的には、自宅では8時間分に相当する仕事量がなく自律性に欠ける従業員が多くいることがわかり、管理の手間(サボりの監視など)を考慮すれば経営層の眼に届く範囲内でコントロールする必要があると判断したものと思われます。

つぎに2つ目の理由は、社内情報共有機能の低下です。リモート会議では積極的に仕事のノウハウや進捗共有の場を設けることが難しく、また提出された文章力の低さや自宅が明るい職場を作ることには繋がっていない点でしょう。どうしても相手の表情が対面に比べて硬く見えることや、若い世代には「飲ミュニケーション」は勤務時間であるとの考えがあるようで、「話を聞いてみたい」と思えば自分から誘えば断る上司は少数派であることなども、定性的ではありますが重要なことかも知れませんね。