オフィス鴻

不正行為は防止できる

2023年09月09日

2023年4月、パーソル総合研究所(東京都港区)が発表した「企業の不正・不祥事の実態と改善策に関する調査」の記事を見て、これまで企業内でかかわってきた様々なことが走馬灯のように記憶の中から蘇ってきました。現在は「内部通報者保護法(2022年6月改定)」に退職後1年以内の従業員・役員の保護が追加され、またカルテル・入札談合(購入カルテルを含む)に限られますが、2006年1月の改正独占禁止法施行により「課徴金減免制度(リニエンシー;Leniency)」が適用されるようになり、最近は違反内容を公正取引委員会に自主的に報告する大手有名企業の例も散見します。

調査結果では、従業員の13.5%が関与・目撃したことがあると回答しており、その中には労務問題(サービス残業、パワハラなど)、他社特許の侵害・無断使用、談合、情報漏洩などの隠蔽行為やもみ消し、さらに窃盗・横領等の個人不正行為も挙げられています。特に中間管理職が目撃者・当事者になるケースが多く、約半数の53.9%の従業員が上司への相談や相談窓口などの利用をしたとのことでした。ただ、昨今コンプライアンス研修等が企業内で盛んに実施されているにも関わらず、まだ不利益(仕返し、人間関係など)な扱いを危惧する従業員も半分近くいる訳ですよね。これは、経営者の責任であり企業組織を正しい方向に変えるサインだと編集人は受け止めています。

職業上の守秘義務があり具体例を申し上げることは出来ませんが、労務問題は監督官庁(労働基準監督署等)による是正指導等と逮捕権がありますので、企業側も対応せざるを得ません。一方、不正行為の中でも会計や金銭が絡む事案は、社内監査担当部署でも発見できずに税務調査等で発覚するケースも多いです。特に貸借対照表から不正行為の疑義を読み解く力のある従業員は少なく、外資系・金融系のようにある日突然、ランダムに従業員を選び全ての情報から遮断して調査することも選択肢として検討すべきだと思います。