オフィス鴻

中小事業者のDX構築

2024年08月26日

経済産業省の資料によれば、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と若干抽象的な表現はありますが定義されています。大手企業では既にIT化による業務コスト削減・品質向上などが様々なコンサルティングファーム等を通じて実現されてきた一方で、中小企業等では投資資金面などからIT化が進んでいない企業も多くあります。また、DXの本質は新たなビジネスモデルや優れた業務プロセスを産み出すことで収益を高めることにありますが、IT化・システム導入等と混同されて理解されていることも多く、中小企業戦略への取り込みは思う以上に難しいと編集人は考えています。

もちろん、DX活用効果は使用目的によってもその評価は大きく異なりますから、従業員が使いこなせるのか、営業活動に取り込めるのかなど、それぞれの企業体質・規模感に見合った費用対効果が見込めないならば導入を先送りするという選択肢もあるでしょう。また取引先との連携が必要なケースも多いため、「たられば」による仮説が外れた新規事業などでは大きな損失を被るリスクも高く、小さく始めながら必要に応じて都度修正を繰り返すことで徐々に定着させていく手法が有効性が高いとも考えています。編集人のところにも、明確な仮説設定と検証のマイルストーン、そして撤退基準に関する相談が増えており、各企業経営者が腑に落とせるまでアドバイスを行うよう努めています。

特に新規事業を立ち上げる際には、既存事業に於ける現実的な課題への対応を怠るケース(具体的には現場の声が届かず、経営判断に資する正確な情報が不足している)が後々リスクを拡大させることになりかねません。つまり、中小企業に限らずDX導入の本質は経営層と現業部門の合意形成が重要だということでしょう。