オフィス鴻

人材流動化の波(3)

2023年05月31日

広義の報酬とは「生活の糧となる賃金」を指すことが多いですが、賃金を得るための一つの手段として労働があります。日本では企業で働く賃金、自営業収入、年金などが金銭所得にあたります。また、東南アジアの旅先では1日中道端の木陰で過ごす方を頻繁に見かけますし、インドでは経済的成功を収めた経営者が無料で低所得者や無職の方に毎日食料を振舞う慣習もあります。日本では国民三大義務(教育・勤労・納税)があり、日常生活に困窮する国民の権利の1つとして生活保護制度があります。この制度運用に対する意見は様々ですが、原則論は「自立を前提とした一時的な扶助」であり、正当な理由なしに就労しない者には厳格に対処するよう定められています。

また、企業では、昇給・昇格・賞与や各種表彰・福利厚生など制度の違いはありますが、新規・中途採用時には双方納得の上で雇用契約書を締結します。また、役職や賃金が増えることは、業績と従業員の生活、取引先に対する責任の重さが増え、複数の選択肢から最適解を探し自分の責任で決断を下すことを意味しますが、やはり人望と経営陣が望む働き方が最も大切であることには変わりありません。それ以外でも、働き甲斐(研修・資格取得・希望部署への異動など)」、やりがい(心の張り合い、充実感、達成感など)等も含まれるでしょう。

編集人は、これまで人事戦略の立案・企画経験(成功・失敗)や偉人の哲学的な言葉などから、働く意義とは仮に我慢や犠牲を伴うにしても「やりがいを見つけること」が賃金以外の報酬に最も近いもので、人間関係に次ぐ人材流動化要因だと今は考えています。「やりがい」自体は非常に抽象的で属人的ですが、人生を大きく変えていく可能性を求める従業員にとって、経営者の言葉一つ一つにそれぞれの意味への深い推考を仕事に生かすことが賃金と報酬を結び付け、企業経営の新陳代謝に繋がる大きなカギになると考えています。