オフィス鴻

企業における退職代行

2025年09月20日

今回は退職希望者の立場ではなく、企業人事担当者の立場から退職代行について考察していきます。人事部といえば企業に於ける組織力を最大化させるための役割を担っており、採用もその戦略性の一環であることはご存知の通りです。そのような業務であるにもかかわらず、事業部等では退職者が発生した場合に人事部に厳しいクレーム入れるのが常でしょう。編集人も人事管掌役員をしていた時期がありましたが、人事部の視点では事業部門に人材育成に関する能力が不足していることが多く見受けられました。その結果だけを見て退職者の本心を考えない姿勢には反発もありましたが、致し方ないとも感じたものです。

退職者にとっては2万円程度の費用で企業から離れることが出来る訳ですが、人事担当には給与関連の清算業務・貸与物の返還など多くの手続きがあります。そのうえ様々な利害関係者への迷惑を省みず一方的に退職する従業員を見ていると、社会人として最低限の常識すらないのかと思うこともありました。しかし見方を変えるとこのような現象には退職者本人以外にも企業側がコミュニケーション不足など反省材料が多くあるのも事実です。ただ心の奥底では「このように退職した従業員を雇用する次の企業担当者も苦労するだろうな」という思いと、人手不足であろうとも採用基準は緩めるべきではないと感じました。

最近は多くのメディアで退職代行に関する功罪の記事が取り上げられるようになってきました。当初の論調は退職者側に肯定的でしたが、最近は安易に利用することで退職者に不利益となる場合があることが指摘されています。この傾向を肯定的に捉えるならば心と身体の不調が悪化するまえに退職することの必要性は認められるものの、デメリットに関しては安易に退職代行を無頓着に利用できることがなかなか感じられないのかと考えています。一昔ふた昔まえには「辞めグセ」という言葉もありました。そのすべてを肯定する気はありませんが、一種の真理が含まれていると思っています。