オフィス鴻

入社祝い金制度

2024年11月20日

最近、経験者採用などで入社祝金制度や勤続祝金制度を導入している企業が増加していると日本経済新聞の記事にありました。元々は、派遣法改正により自動車産業を中心とした工場生産ライン勤務者に対して一定期間ごとの契約期間に達すると30万円程度の慰労金(退職金に近いです)を支給することで、期間工の中途離職を防止する効果を狙ったものですが、最近はIT技術者などの人手不足業務やサービス産業にも普及し始めているそうです。

編集人も実際に現業部門会社の非正規雇用従業員を子会社で受け入れるにあたり、他社とは異なる福利厚生制度を導入していきました。その目的は、ベアと異なり毎年の昇給がその後の人件費企業負担を大きく圧迫しないことが挙げられます。働いてもらいたい従業員には、相応の手当(原資は荷主との交渉で確保)を生産性分配と言う形で支給すれば良いのですが、その大前提には人事評価制度の良し悪しが深く関わって来ることは意外とスルーされてしまうものです。また、従業員全員に公平分配できるものと、企業経営の方向性に関連するものがあり、その点をしっかりと見極めて運用・導入していかないと単なる手当のオンパレードになるリスクを抱えてしまい、かえって従業員の不満の温床になる可能性があることを念頭に置く必要性があることに気付きます。

実際に従業員の離職理由を正しく把握できている企業は少なく、厚生労働省の資料でも職場の人間関係・将来性への不安・処遇などが上位に挙げられています。つまり、従業員個々人の健全な承認欲求を企業側(上司)が把握できていなければ、離職は制度導入だけでは防止できないことだとも言えます。読者の皆さんに身近な例として挙げれば、現在系列化による寡占化が進むタクシー業界はバス業界の働き方(当然社会的貢献度の違いはあります)が自動配車システム(アプリ)により多様な働き方に対応していることを目の当たりにしていることでしょう。その意味ではまだ各企業が検討できることは沢山あると考えています。