オフィス鴻

労働市場と社会保障

2024年11月20日

労働市場にて、特に大きな課題が2つ各所で取り上げられています。1つ目は労働人口減少に伴う生産性の向上・成長産業や人手不足(エッセンシャル事業)への労働力移動、2つ目は第三号被保険者制度(約7百万人)と年金制度に関する事項です。いずれも昭和時代に設計・施行された制度が現在の労働市場の足枷となっていることでは一致しており、労働人口減少にも関わらず非正規雇用者が埋めていた業務が結果的に正社員との格差を生み出している点など、現行の労働法規制だけでなく労働に対する考え方(思考)自体を再度見直す時期にあると考えています。

実際に、今年10月から全国平均で最低賃金が加重平均で1,055円を超えました。これまで、非正規雇用で賄ってきた労働力も現在の約1,500万人から長期スパンでは減少傾向にあります。非正規雇用は主に短時間労働中心の女性や就職氷河期世代(現在の50歳前後)で支えられえてきた構図も、社会保険制度の改定により企業・従業員共に金銭的負担が増加する中小企業にとっては当面の50万円(いわゆる106万円の壁)の補助金を活用したとしても、経営に与える直接的インパクトは大きいと思われます。また、在職老齢年金制度により年金の一部がカットされる現行制度では労働時間を抑制する方が約3割程度いるそうですが、仮にこの制度を廃止すると新たに数千億円が必要だと言われていて、結局のところ政府・行政共に抜本的な改革を伴う新施策への移行に踏み切れていないのが現状です。

また、欧米諸国で導入されているスキル・ジョブ型雇用や金銭による解雇方法なども規制緩和の方向で検討が行われているだけで、リスキリング・ジョブ型人事制度・成長分野への労働力移動も若手・中堅層の一部が中心であり、未だに時間外労働で給料をカサ増ししている正社員が多いこととも課題解決を遅らせる要因として関連していると考えています。まずは、政治家が「隗より始める」ことを実行すれば、国民の納得感も醸成できると思います。