オフィス鴻

定年後の働き方

2023年12月25日

2021年4月施行の改正高齢者雇用安定法は、①65歳までの定年引上げ、②定年制の廃止、③65歳までの継続雇用制度の導入を、2025年4月までに企業が選択する義務があります。また、努力義務の範疇ですが、70歳定年制とも呼ばれる「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」(高年齢者雇用安定法)の一部が改正されました。企業経営では55~65歳の従業員層の人件費を収益性の低い固定費と見る場合も多く、常勤部長・役員クラスとして残る数%を除けば、報酬に見合った新たな役割を担ってもらうことが雇用継続に対する社会的責任であるとも言えます。

一方、定年後も65歳まで転籍・出向を含め企業グループ内に籍を置くことは法的に可能です。また、新たな転職先への就職、独立、完全リタイア、契約社員・顧問・業務委託等と年金を併行受給しながら働く選択肢もあります。もちろん、人手不足業界(最近はIT系若手社員でも高度なスキルが求められるそうです)での求人はたくさんありますし、特別なスキル・経験保持者であれば、更に選択肢は拡がるでしょう。60歳を過ぎても活躍されている方(役職は殆ど関係ないが、信用・信頼と言う財産を有している方が多い)は、自分自身の役割(例えば、後任者へのフォロー、暗黙知の継承、出しゃばらないなど)を弁えて、他人と比較する必要のない幸福感も大切にされながら仕事を続けておられるように感じます。

また、最近は「セカンドキャリア研修(黄昏研修)」を導入する企業も増えてきました。対象者は30~40歳代にも拡がっていて、現在の処遇改善の動き(主に若手層の賃金アップ)には年齢に関係なく個人差が大きい仕組みであることや、自身の仕事の価値と目標をどこに求めるのか考える必要がります。大手かつ黒字企業での早期退職制度適用などを鑑みれば、仮に貢献度が高い社員が辞めるリスクや社内総生産性が向上しても総人件費削減の流れには抗えないと考えています。