就職氷河期世代の賃上
2024年12月08日
今年は経済同友会・経済連等に加盟する大企業で30数年ぶりの大幅賃上げが行われ、その恩恵は若年層に厚く、中高年齢層や中小企業従業員には恩恵が及ばない傾向にあります。また、好業績下での希望退職・リストラも多数行われており、これまで言われてきた世代間格差(団塊の世代と若年層)とは真逆の方向で直接的な影響を受けているのが、40歳代以上で就職氷河期世代に社会人になった層を中心にしわ寄せがきている感があります。これまで政府は就職氷河期世代への支援を表明・実施してきましたが、最近はその施策も余り耳にすることが無くなってきたように感じます。
その背景には、大企業の幹部社員が既に60歳を過ぎてバブル期入社の逃げ切り組に入っていることを考えれば、理由の如何はともかく日本の終身雇用制度の限界を意味していて、結果的に再び就職氷河期世代に苦難を強いているとも考えられます。また、若手社員からはあまり働いていないように見え、給料が比較的高く生産性が低いと思われている従業員が中高年層に多いことも理由の1つかも知れません。ただ、もう少し深く考える必要があると思われることは、生産性の低さは該当する従業員の責任だけでは無いと言う点でしょう。例えば上司が変われば状況が一変することもありますし、知らない間に相手に対する敵対心のようなものが態度に表れて周囲にストレスを与えてしまっていることで、余計に状況を悪化させている可能性も否定できません。
実際に自分の努力が正当に評価されていないと言う従業員は相応に組織の中に存在しますが、企業では金銭的報酬以外にも心理的な報酬(充実感など)を得られる良さがあります。また、相手に対する態度や対応を見直すことで良好な関係を保つこともできます。編集人が良く使う言葉に「利他の精神」が挙げられますが、これも相手に何かを求めることで不信感を生んでしまうことを避け、自分自身に対しても第三者的立場で褒めたり、労うことで精神状態を良い状態に保つ効果があると考えています。