オフィス鴻

教育訓練給付制度の拡充

2024年10月31日

政府は自動車運送・建設・介護職などの業界団体による民間検定の実施・認定を念頭に、リスキリング給付対象に追加する方針を打ち出しました。その他の教育訓練には厚生労働省の指定講座修了で給付率が10月から最大80%に引き上げました。同時に自己都合退職の待期期間(給付制限)を2ヶ月間から来年4月より1ヶ月間に短縮することも決定しており、人材流動化を促進する目的とされています。しかし、元々低賃金・長時間・重労働である人材不足が顕著な業界へと労働力移動を実現するには、リスキリングではなく生産性向上に繋がる働き方改革の方が実効性を伴うと編集人は考えています。

ドイツやイギリスでは既に同様の政府・民間検定の仕組みがあり、そのランクにより処遇(給料)に反映されています。屋上屋を重ねるような今回の制度設計では単に資格取得支援業界が潤うだけでしょう。また、世界的な人手不足が拡がる中でリクルートワークス研究所の資料では15年後には日本で約1千万人の人材供給不足になると試算されており、現在でもフルタイム以外の比較的短時間の仕事を定年後の世代が担っている実態があります。その理由も生活費不足分を補う方から社会的ボランティア活動等まで幅広いものです。しかし、エッセンシャルワーク業務が多く、体力面・賃金面でも厳しいことはご承知の通りです。また、あと10年もすれば団塊ジュニア世代が60歳代に入りますので、定年再雇用後も就職氷河期同様に条件の良い仕事を奪い合う構図になる可能性も否定できません。

中には起業を考える方もいますが、企業の名刺・肩書がなくなった途端に取引先との立場が逆転する程度ならマシな方で、特段の能力がなければ相手にしてもらえないのがビジネスの世界です。編集人も難病疾患のため、自宅内に仕事場を作り体調の許す範囲で家族の支援も受けながら、クライアントに迷惑を掛けないリモート中心のニッチビジネスを展開しています。