オフィス鴻

早期希望退職制度

2024年06月16日

コロナ禍の緊急事態宣言解除から1年以上経過した現在、円安・物価高・賃上げ・人手不足・観光公害(オーバーツーリズム)・融資未返済による倒産等、様々な課題が次々と明らかになってきました。また、平成不況(デフレ)からの脱却に水を差すような自民党を中心とした政治資金に関わる政治不信も重なっており、今こそ日本と言う国を立て直すためには選挙を通じて民意を表明するまたとない機会だと考えています。

表題の早期希望退職も、ビジネスの世界に浸透し始めているDXが、超高齢化社会・人口減少社会における新たなビジネスモデルとして見通しが立ち始めた現在、黒字の大企業でも将来への布石として盛んに行われるようになりました。そこには日本企業の労働生産性の低さが浮き彫りにされていること、リスキリングや雇用流動化と言った施策との同期化が一種のリストラを行いやすい環境にあることも関係していると思われます。そして最も感じるのは、これまでの日本の雇用体系に影響していた解雇4原則が、個人事業主・業務委託方式等への切替により徐々に形を変えている点でしょう。

また、春闘で5%超の賃上げが行われたのはごく一部の大企業が中心で、中小企業との賃金格差は拡大しているように思えます。そのような経済環境下で十分な生活設計・準備を怠って割増金目当てに希望退職に応募することはある種のギャンブルでしょう。編集人も人事管掌役員の時に数百名の希望退職に関わりましたが、実質は指名解雇に近いものであり企業が残ってほしいと思う従業員は既に別会社への転職が決まっているか、会社側が何らかの引き留め工作を行うことも想像に難くありません。特に50歳代になると役職定年など出世の最終ゴールが見えてくる時期で、定年後も働き70歳近くまで住宅ローンの返済、子供の学費が払い終わるという方もいるでしょう。結果論かと言われることを覚悟した上で話を戻せば、割増退職金の魅力は大きくてもしっかりと今後の家庭内金銭事情について家族と話し合うことが大切だと感じます。