机上の空論の功罪
2025年09月19日
企業で勤めていると、学歴(学校歴)や資格によって他従業員にマウントを取っている方が意外と多いことに気付かされます。実際に高学歴と呼ばれる方は総じてそのような傾向を周囲の方が感じているにもかかわらず、本人は全く意に介していないようにも見えます。また企業でも見える業績に貢献している従業員を重用することが多く、現場や管理部門などで縁の下の力持ちとしての役割に対してはあまり高い評価は与えられていません。そして同じような昇進基準に達していた従業員の内1人を選ぶ場合には、この学歴や資格が見えないバイアスとして作用することは多くの方々が感じておられるでしょう。
実際に現場が止まってしまえば企業経営は成り立たないことは頭の中でもわかっているのですが、ともすれば机上の空論があたかも最適解のように扱われると現場と経営との間に齟齬が生じてしまうこともあります。編集人も企画部門に30年以上在籍していたので時には机上の空論にもっともらしい理論を構築することもありましたが、その背景にある経営環境を見誤らないように常に自戒していました。もちろん様々な視点や知見に基づく理論構築によって戦略立案のプラスになることもあり、一概に否定されるべきものではないと考えています。ただしそれは経営層レベルの課題として認識されていたことにも原因があると思われます。
編集人が最も留意したいたこととして、異なる業務での知識・経験をすぐに引き出しから取り出せること、自身の置かれた環境を冷静に判断して成長に結びつけること、他者の感情に寄り添うこと等が挙げられます。そして机上の空論にありがちな絶対解を探す行動よりは、複数の検討案を提示することを重要視していました。その中で捨てるべきものと残すべきものの選択基準は、他者の意見を柔軟に考えられる脳力によって鍛えられると考えています。もし読者が知性や信頼獲得力が足りていない上司にあたったと感じたならば、社内・社外で新たな人間関係を構築するチャンスなのではと思っています。