オフィス鴻

業務外傷病時への対応

2024年06月25日

業務外私傷病では、数日程度の治療・休養で済む程度の疾患・ケガであれば、企業毎に定められた就業規則等に基づいて有給消化を認められるケースが多いです。ただし、有給消化については、労働基準法上は従業員による年次有給休暇の申し出は前日までに行うこととされており、従業員からの当日の申し出に対しては会社は拒否すること可能です。例えば、従業員が急病(高熱・インフルエンザ等)で出勤できない場合は、一般的には「有給休暇として認めるには、診断書を提出をすること」といった条件を会社側が附して有給消化として認めるケースが多いようです。

また、仮に前日までの申請に対して有給消化を申請しても、会社側は労働基準法第39条により条件付きで時季変更権を行使して出勤を命じることができます。具体的には、会社の繁忙期等で事業の正常な運営を妨げる場合には別の時季に有給休暇を与えることが許されていますが、従業員が有給休暇申請をする際には具体的な理由を伝える必要はなく、正当な理由が無い時季変更権の行使は限定的であることに留意しておく必要があります。似たようなものに、第三者行為・労働災害による休業がありますが、これは有給休暇と異なりますので、会社の人事部等に相談するのが良いと思われます。さらに、休職となれば健康保険組合から傷病手当金(受給条件はありますが標準報酬の6割程度)が支給されますので当面の生活資金を確保することが出来ます。

なお、休職命令が出され治癒後に復職を従業員が申しでた場合には、産業医の意見書を参考にして会社側は復職の可能性について検討することになります。もちろん、企業毎に対応は異なりますが、労働基準法第19条では休業期間、およびその後30日間は解雇することができませんから、仮にすぐには以前の職務に復帰するのは難しい場合でも当面会社側が負担の少ない業務に配置転換してくれることもあります。ただ、あくまでも雇用契約を基にして判断されますので、もし不当解雇だと思えるなら労働基準監督署へ相談したり労働審判等を活用する方法もあります。