オフィス鴻

正社員雇用の変化

2025年07月28日

空前の売り手優位であった労働市場に変化の兆しが表れています。帝国データバンクの調査によれば、2025年度は正社員採用を予定している企業は全体の60%弱で多くの中小企業では募集しても応募者が殆どなく、費用対効果を考慮して募集そのものを断念してしまうことも少なくないと言われています。また大企業とて3年以内の離職率は約30%近いとのデータもあり、大幅な賃上げや希望部署への配属等は採用母集団形成に対する効果はあっても歩留まりで考えると決定打とはなり得ていない現実が浮かび上がっています。また転職市場も即戦力採用・若手採用が主であり40歳に近づくと一気に採用数が減少すると言われています。

編集人も4度の転職を経験しましたが、幸いにも採用者側とのミスマッチは少なく短期間(1ヶ月程度)で複数の企業からオファーを頂き一般採用枠とは別ルートでキャリアアップ・処遇向上を実現できていた時代でした。しかし当時でも大手人気企業は狭き門であり、「鶏口となるも牛後となるなかれ」の諺のようにまだ志望者が少なかった事業会社へと転職する道を選んだものです。実際に株式市場への上場を何度も経験出来ましたし、まだ他人が挑んでいない新規事業開発、経営層の端くれとしてサプライチェーン(編集人の専門領域は中間流通です)構築にも携わってこれたことは非常に有意義なことだと思っています。

ただ大手企業であっても外注先である中小企業の経営悪化は、結果的に自社事業への影響を無視するわけにはいきません。「言うは簡単行うは難し」ですが、外注先企業の経営状況を把握することも担当者の大切な職務です。しかし決算書類や経営状況を読み解くことが出来る人材がどれだけ企業内にいるのかは判りません。編集人の場合は配属先がかわれば必ず協力業者(外注先)に伺って、自分の眼で不安な点は確かめていました。その上でレポートを上申して上司の判断を求めましたが、多くは自己保身に終始する方が多かったと記憶しています。