特例子会社(障害者雇用)
2024年03月05日
AERAに、ベネッセの特例子会社に関連する記事が掲載されていました。特例子会社とは、障害者の雇用の促進及び安定を図るため、事業主が障害者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、特例としてその子会社に雇用されている労働者を親会社・関連会社に雇用されているものとみなして、実雇用率を算定できる(厚生労働省資料より抜粋)制度のことです。同じく厚生労働省の資料では、障害者雇用ビジネス(農場運営委託など)と呼ばれる障害者雇用を丸投げできる形式上雇用率達成のための事業者で雇用されている障害者数は5千人以上になるそうです。
編集人も一時期特例子会社設立を検討したことがありますが、企業と障害者を切り離すような形での雇用率確保は、自社内で障害者用の仕事を切り出すこと以上に本来の法律の主旨から外れているように感じます。2030年頃までには法定雇用率が3.0%(精神障害者保健福祉手帳所持者もカウントできます)まで引き上げられ、体力がありネームバリューもある大手企業への応募者は多いそうですが、さらに小規模な企業(従業員数45.5人未満)にも適用される可能性もあります。
また、ベネッセが取り組んでいる特例子会社では「親会社に近い場所でコア業務を中心に働く」ことを前提にしており、総括原価方式(かかった費用を親会社が全額負担すること)を取らずに料金設定することで、外部会社との競争ができるだけの質の高いサービスを提供する独立採算を採用しているそうです。一方で、メールサービスや清掃業務はコロナ禍による在宅勤務の浸透で大きく減少し、さらに難易度の高い業務依頼にもジョブサポート方式(指導員と一緒になって戦力化する)を武器に育成を進めているそうです。これにより、B型(出来高制の工賃)ではないA型雇用(最低賃金以上での雇用契約)とすることで、障害者の所得向上を図るという素晴らしい取り組みだと思います。